行政文書不開示処分取消請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1行コ104
- 事件名
- 行政文書不開示処分取消請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2019年12月17日
- 裁判官
- 中本敏嗣、橋詰均、三島恭子
- 原審裁判所
- 大阪地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、大阪府豊中市の市議会議員である控訴人(原告)が、情報公開法に基づき、国が学校法人森友学園に国有地(大阪府豊中市野田町の土地)を売却した売買契約書の開示を近畿財務局長に請求したところ、売買代金額等および瑕疵担保責任免除特約(第42条)の部分を不開示とする一部開示決定を受けたことから、当該不開示処分が違法であるとして国家賠償法1条1項に基づき、被控訴人(国)に対し慰謝料11万円および遅延損害金の支払いを求めた事案である。 本件土地は、もと大阪国際空港の航空機騒音対策として取得された移転補償跡地であり、国は土壌汚染調査や地下埋設物調査を実施し、深度3mまでの範囲に汚染土壌や廃棄物混合土が存在することを把握していた。平成27年5月、国は森友学園との間で定期借地契約を締結し、森友学園は既存埋設物の除去工事を行ったとして有益費の償還を受けた。その後、小学校校舎建設工事中に深度3mより深い地中にさらなる地下埋設物(係争埋設物)があるとされ、森友学園は本件土地の早期購入を要望。国は、係争埋設物の除去費用を約8億2000万円と見積もり、正常価格9億5600万円からこれを差し引いた1億3400万円で売却した。 原審は、売買代金額等の不開示は違法だが、瑕疵担保責任免除特約(本件条項)の不開示は違法ではないとして、請求を一部(3万3000円)のみ認容。控訴人はこれを不服として控訴した。 【争点】 本件条項(瑕疵担保責任免除特約等が記載された売買契約書第42条)の不開示が、情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当するか、および国家賠償法上の違法があるかが中心的争点である。被控訴人(国)は、土壌汚染等の瑕疵情報が開示されると、保護者に心理的嫌悪感を生じさせ森友学園の小学校経営における競争上の地位や事業運営上の利益が害されるおそれがあると主張した。 【判旨】 大阪高裁は、控訴人の請求を全部認容し、原判決を変更して国に対し11万円の支払いを命じた。 本件条項は、国が瑕疵担保責任を一切免除したため売買代金が著しく廉価となったことを推知させる、売買代金の大幅な減価要因を記載した条項であり、財政法9条1項の国有財産の適切な管理の趣旨に鑑みれば、売買代金額と同等に公表すべき要請が高い情報であると判断した。特に、売買代金額が近隣の実勢価格と比較して格段に廉価である場合には、適正な対価なく国有財産を譲渡したのではないかとの疑いが生じ得るため、価格形成上の減価要因の公表要請は一層高い。 森友学園の事業利益については、既存埋設物の除去は完了しており、係争埋設物は廃棄物混合土にすぎず児童の生命・身体に危険を及ぼすものではないこと、私立小学校選択において保護者は教育理念や教員の質を重視することから、本件条項の開示によって事業利益が害される蓋然性が客観的に認められるとはいえないとした。 その上で、近畿財務局長は、地下埋設物が安全性に強い疑念を生じさせる性質のものではないことを容易に理解できたはずであり、また売買代金額と減価要因を一体的に判断しながら、財政法上の公表要請との考量を踏まえた慎重な検討をしていないことから、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と不開示の判断をしたものとして、国家賠償法上違法であると認め、慰謝料10万円・弁護士費用1万円の賠償を命じた。