AI概要
【事案の概要】 コンサート会場などで用いられる高輝度LEDペンライト「キングブレード」シリーズを製造販売する原告(株式会社ルイファン・ジャパン)が、類似する形態のペンライト「カラフルファンタスティック」を販売する被告(株式会社HAPPY JOINT)に対し、意匠権侵害および不正競争防止法違反(周知商品等表示混同惹起行為)を理由として、製品の製造・販売・輸入等の差止め、廃棄および約937万円の損害賠償を求めた事案である。原告は平成24年4月20日から「キングブレードMAX」の販売を開始し、以後「X10」「X10Ⅱ」などのシリーズ製品を順次発売していた。これらの製品は、持ち手部分、光を発するライト部分、その間のメッキ仕様のリング部分という統一感のあるデザインと、瓢箪型の持ち手、球状の先端、底面部の操作ボタンといった特徴を備え、いわゆる「オタク」層を中心に「キンブレ」の愛称で絶大な支持を得ていた。原告は、持ち手部分底面の2つの半円形ボタンについて部分意匠の登録も受けていた。被告は平成28年8月頃から、原告製品とほぼ同一の外観・大きさを有する被告製品を、原告製品の半額以下の価格帯で販売していた。 【争点】 主な争点は、(1)原告意匠と被告意匠の類否、(2)原告製品形態が不正競争防止法2条1項1号にいう周知な商品等表示に該当するか(特別顕著性および周知性)、(3)原告製品と被告製品との混同のおそれの有無、(4)形態模倣による一般不法行為の成否、(5)損害額であった。 【判旨】 東京地裁は、争点(2)から判断し、原告製品形態は平成24年4月当時の同種製品には見られない顕著な特徴を有すると認定した。すなわち、ライト部分先端とリング部分に同一色のメッキを施した統一感のあるデザイン、全体的に丸みを帯びた凹凸のない円柱状の形態、瓢箪型の持ち手、球状の先端カバー、約25センチメートルの全長とバランスの良い比率、底面部のみに配置された操作ボタンといった特徴が相まって、特別顕著性を有するとした。さらに、販売開始から約6か月で爆発的な売上げを記録したこと、商品名の紹介がないテレビ番組での使用場面を見た視聴者が形態から原告製品と認識してSNSで反応したこと、アマゾンのおもちゃ総合ベストセラー3位にランクインしたことなどから、平成24年10月時点、遅くとも平成25年1月までに周知性を獲得したと判断した。そして、被告製品は原告製品形態を全て備え、X10シリーズバージョン2以降と基本的に同一の形状・大きさを有することから混同のおそれがあると認定し、製品名や価格帯の相違、需要者が知識豊富な「オタク」層であるとの被告の主張を退けた。損害額については、不正競争防止法5条2項により被告の限界利益824万2102円を認定し、弁護士費用82万4000円を加えた906万6102円の賠償を命じた。被告が控除を主張した人件費、卸売用OPP袋代などは、卸売先に別途請求していたことや業務の具体性が不明であることを理由に経費として認めず、寄与率についても原告製品と被告製品の形態が同一であることから覆滅事由を認めなかった。結論として、被告製品の販売等の差止めと廃棄、および906万6102円の損害賠償を命じた。