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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
令和1行ケ10101
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2019年12月19日
裁判官
大鷹一郎國分隆文筈井卓矢

AI概要

【事案の概要】 本件は、「南三陸キラキラ丼」(標準文字)の商標(指定商品:第30類「南三陸産の海鮮丼、南三陸産の海産物を具材として含む丼物」)について、商標権者である被告個人に対し、同じ南三陸町飲食店組合の組合員である原告(「南三陸ホテル観洋」を経営する株式会社)が商標登録無効審判を請求したが、特許庁が請求不成立の審決をしたため、原告がその取消しを求めた審決取消請求事件である。 「南三陸キラキラ丼」の標章は、平成21年12月から南三陸町飲食店組合の組合員であるホテル・飲食店6店舗(原告・被告を含む)によって、地元食材を使った丼物のブランドとして提供が始まり、季節ごとに「いくら丼」「春つげ丼」「うに丼」「秋旨丼」とシリーズ展開された観光キャンペーンの標章である。東日本大震災で一時中断したが、平成24年2月の仮設商店街オープンに合わせて「復活 南三陸キラキラ丼」として9店舗で再開し、震災復興の象徴として広く報道された。 被告は、南三陸町飲食店組合の当時の組合長として、同組合が法人格(権利能力)を持たない任意団体であることから、宮城県発明協会の助言に基づき、平成24年11月29日に自己の個人名義で本件商標を出願し、平成25年5月2日に登録を受けた。原告は、本件商標の登録出願・登録査定当時、「南三陸キラキラ丼」は、原告発案のキャンペーンに賛同した南三陸町内のホテル・飲食店の集まりの役務を表示する標章として需要者に周知であったところ、被告は組合員に無断で独断で個人名義で商標を横取りしたものであり、商標法4条1項10号(他人の未登録周知商標)、同15号(混同を生ずるおそれ)、同19号(不正の目的)に該当し、無効であると主張した。 【争点】 主な争点は、(1)「南三陸キラキラ丼」の標章の使用主体が誰であるか(原告主張の「原告発案のキャンペーンに賛同した飲食店の集まり」か、被告・審決主張の「南三陸町飲食店組合」か)、(2)権利能力なき社団の代表者個人名義でされた商標登録について、代表者個人と当該社団を「同一人」とみなして取り扱い、商標法4条1項各号の「他人」該当性を否定してよいか、(3)被告に「不正の目的」があるか、である。 【判旨】 知的財産高等裁判所第4部は、原告の請求を棄却した。 まず、「南三陸キラキラ丼」の標章の使用主体について、キャンペーン当初は組合員有志の取組として始まったが、提供店が震災の前後を通じてすべて南三陸町飲食店組合の組合員であったこと、報道等で組合の取組として紹介されていたこと、組合長のコメントが繰り返し掲載されていたことなどから、遅くとも本件商標の登録出願時には、同組合がキャンペーン活動を組合の事業活動として位置づけており、標章の使用主体は「南三陸町飲食店組合」であったと認定した。原告が立ち上げに積極的に関与したことはうかがえるが、標章が「原告発案のキャンペーンに賛同した飲食店の集まり」の役務を表すものとして周知されていたと認めるに足りる証拠はないと判断した。 次に、本件商標権者である被告と南三陸町飲食店組合の関係について、同組合は規約を有し、多数決原則が行われ、代表・総会・財産管理等の要件を備えた権利能力なき社団であると認定。商標法7条により法人格を有しない団体は商標登録を受けられないが、権利能力なき社団の意思決定に基づきその代表者個人名義で出願・登録を受け、当該社団の財産として管理することは許容され、この場合の登録商標権は構成員全員に総有的に帰属し、実質的には社団が有しているとみることができる、との法理を示した。 本件では、組合執行部会議等で協議を経た上で被告個人名義の出願が決められ、商標登録後ではあるが総会決議で承認され、仕様基準も定められていること、代表者交代に伴う名義変更の保留についても被告と現組合長との間で確認書が作成されていることから、本件商標権は実質的に南三陸町飲食店組合が有するものであり、商標登録出願・登録の関係では被告と同組合を同一人として取り扱うのが相当であると判示した。 その結果、「南三陸キラキラ丼」の標章は本件商標との関係では「他人」の周知商標に該当せず、商標法4条1項10号・15号・19号のいずれにも該当しないとして、本件審決の判断に誤りはないと結論付けた。本判決は、法人格を持たない任意団体が営業標章の商標登録を受ける際の実務上の受け皿として、代表者個人名義での出願を認めつつ、社団の意思決定と実質的帰属をもって「同一人」性を肯定する枠組みを明示したものであり、組合・団体による地域ブランド保護の実務において重要な意義を持つ。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。