都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3154 件の口コミ
知財

商標権侵害差止等請求事件

判決データ

事件番号
平成29ワ3428
事件名
商標権侵害差止等請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2019年12月24日
裁判官
柴田義明安岡美香子古川善敬

AI概要

【事案の概要】 本件は、巨大電子掲示板「2ちゃんねる」の元管理人とされる原告が、商標権者として、フィリピン法人である被告(レースクイーン(RQI)インク)に対し、被告による「2ちゃんねる」「2ch.net」の標章使用及び「2ch.net」ドメイン名の使用の差止めと約1億7500万円の損害賠償等を請求した事件です。 原告は、平成11年頃に本件電子掲示板を開設し、管理人として知られていました。しかし、平成21年頃、原告はブログや著書において、本件電子掲示板をシンガポール法人のパケットモンスター社に譲渡した旨を公言していました。他方、サーバ管理等は平成11年頃から米国法人NTテクノロジー社が担い、平成16年頃からは被告も本件電子掲示板の管理運営に直接携わるようになりました。平成26年2月19日には、NTテクノロジー社が原告側の東京プラス社のサーバアクセスを遮断し、以後、被告が実質的な運営を行い、広告収入もNTテクノロジー社側が取得するようになりました。 原告は、この状況を「乗っ取り」と主張し、平成25年・平成26年に「2ちゃんねる」「2ch」の商標登録を取得したうえ、商標権侵害及び不正競争防止法違反を理由として本訴を提起しました。なお、本件電子掲示板は平成29年10月1日以降、運営権がLoki Technology, Inc.に譲渡され、名称も「5ちゃんねる」、ドメインも「5ch.net」に変更されています。 【争点】 主要な争点は、(1)被告標章と原告商標との類否、(2)被告に商標法32条1項の先使用権が認められるか、(3)不正競争防止法2条1項1号・2号・19号の不正競争行為に該当するか、(4)差止めの必要性、(5)将来の損害賠償請求の適法性です。特に、複数の関係者が共同して本件電子掲示板の運営に関与してきた中で、誰が「標章の主体」として信用を蓄積してきたかという点が中核的争点となりました。 【判旨】 東京地裁は、まず将来の損害賠償請求部分について、電子掲示板の広告収入は変動するもので損害額を一義的に認定できないとして訴えを却下しました。 商標の類否については、被告標章1(「2ちゃんねる」)は原告商標1と同一、被告標章2(「2ch.net」)は要部「2ch」において原告商標2と類似すると判断しました。 しかし、先使用権の成否について、裁判所は本件電子掲示板に係る役務を主体的に自己の業務として提供し、標章の信用蓄積に主要な役割を果たしたのはNTテクノロジー社であると認定しました。そして、被告は平成16年以降NTテクノロジー社とともに運営に関与し、遅くとも平成24年5月頃にNTテクノロジー社から事業承継を受けたと認定しました。被告標章は遅くとも平成18年までに全国の需要者に広く認識され、原告商標の出願時にも周知性が維持されていたと判断し、被告には先使用権が認められるとしました。平成26年2月19日の「乗っ取り」とされる行為についても、NTテクノロジー社が従前から主要な運営主体であった以上、被告による使用は不正競争の目的なくされたものと評価されました。 不正競争防止法についても、被告は共同事業者ないし事業承継者として、標章の信用蓄積に主要な役割を果たした者からの地位を承継しているため、被告による標章・ドメイン名の使用は不正競争行為に該当しないとしました。 もっとも、平成30年4月以降は被告が標章を使用した事実は認められず、現時点で被告に先使用権があるとまではいえないこと、使用終了の経緯が不明で再使用の可能性も否定できないことから、商標権に基づく差止請求のみを認容し、その余の請求(ドメイン名差止め、損害賠償)は棄却しました。本判決は、共同事業における標章の先使用権の帰属と、運営主体の交代・紛争後の使用の評価について重要な判断を示したものといえます。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。