商標権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、服飾雑貨の製造・販売を業とする個人事業主である原告が、「BELLO」(太ゴシック体)および「Bello」(筆記体風)の各文字から成る商標権(本件各商標権、指定商品は第25類の下着、トランクス、洋服、帽子等)を有していたところ、テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ)を運営する被告が、パーク内外の直営店舗およびオンラインストアにおいて、人気アニメ映画「怪盗グルー」シリーズ等に登場するミニオンのキャラクターの図柄とともに「BELLO」の文字や飾り文字(被告各標章)を付したTシャツ、トランクス、帽子、靴下、フード付きトレーナー、フード付きポンチョ等のキャラクターグッズを販売していることが、本件各商標権を侵害すると主張して、被告に対し、商標法36条1項・2項に基づく被告各商品の販売等の差止めおよび廃棄、ならびに不法行為に基づく損害賠償金1500万円の支払を求めた事案である。 ミニオン語と呼ばれる言葉の一つに、英語の「HELLO」に相当する挨拶として「BELLO」が存在することから、被告は被告各商品において同語をミニオンのキャラクターの図柄とセットで装飾的に表示していた。 【争点】 本件の主な争点は、(1)本件各商標と被告各標章の類否、(2)本件各商標の指定商品と被告商品8(フード付きポンチョ)の類否、(3)被告各標章の使用が「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる態様により使用されていない商標」(商標法26条1項6号)に該当するか(非商標的使用該当性)、(4)権利濫用該当性、(5)差止めの必要性、(6)損害の有無および額の6点であった。裁判所は、争点(3)の非商標的使用該当性を中心に判断した。 【判旨】 大阪地裁は、原告の請求をいずれも棄却した。裁判所は、ミニオンが登場する映画が大ヒットし、日本国内でも高い周知性を有するキャラクターであると認定したうえで、被告各商品はUSJのパーク内および近隣の直営店舗で公式グッズとして販売されており、需要者は「USJ(被告)が擁するミニオンというキャラクターの公式グッズである」という認識をもって他商品との出所識別を行うのが通常であり、それ以上に個々の商品の出所識別を意識する動機に乏しいと判示した。また、パーク内ではミニオンのキャラクターグッズが服飾品に限らず文房具・歯ブラシ・菓子等の多岐にわたる商品や看板にまで広く「BELLO!」が付されていることから、需要者は被告各標章をミニオンのキャラクターと関連する何らかの語・フレーズとして認識するにとどまり、商品の出所はタグやパッケージに付された本件被告ロゴ(「UNIVERSAL STUDIOS JAPAN」の地球儀ロゴ)によって識別するものと認めるのが相当であるとした。 他方、原告の本件各商標については、掲載された雑誌の印刷部数や頻度、百貨店の販売コーナー設置期間、展示会出展回数がいずれも限定的であり、需要者間で周知性を有するとは認められないから、その既知性に基づいて需要者が被告各標章を出所表示として認識することもないと判断した。さらに、オンラインストアでの販売や第三者による転売の場面でも、USJの公式ロゴ等により出所がUSJであると明確に表示されていることから、被告各標章が出所表示として機能していないとした。 以上より、裁判所は、被告各標章は商標法26条1項6号の「需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができる態様により使用されていない商標」に該当し、本件各商標権の効力は及ばないと結論付け、その余の争点を判断するまでもなく原告の請求をいずれも棄却した。著名なキャラクターと一体的に表示される文字標章の商標的使用性について、取引の実情と需要者の認識を総合的に考慮して判断した裁判例として、実務上重要な意義を有する。