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下級裁

所得税法違反被告事件

判決データ

事件番号
平成30う581
事件名
所得税法違反被告事件
裁判所
大阪高等裁判所
裁判年月日
2018年11月7日
裁判種別・結果
棄却
裁判官
飯畑正一郎佐藤洋幸

AI概要

【事案の概要】 本件は、市役所職員であった被告人が、日本中央競馬会(JRA)から得た馬券の払戻金を中心とする多額の所得を申告せず、所得税を免れたとして、所得税法違反(脱税)に問われた事案である。原審は、被告人が平成24年分の所得税974万3300円、平成26年分の所得税5301万9589円の合計約6200万円余りを、内容虚偽の確定申告書を提出したうえ法定納期限を徒過させることにより免れたと認定し、懲役6月及び罰金1200万円(懲役刑につき2年間執行猶予)に処した。ほ脱率は全体で約97.8%と極めて高率であった。 本件発覚の端緒は、大阪国税局査察部の国税査察官Bが、A銀行(インターネット銀行)の同意を得て別件の犯則事件に関する任意調査を行った際、被告人名義の預金口座(本件口座)の取引状況を把握し、JRAからの多額の入金を確認したことにあった。弁護人は、本件口座情報は違法に収集された証拠であるとして、原判決に理由不備、法令適用の誤り、訴訟手続の法令違反及び量刑不当があると主張し控訴した。 【争点】 主要な争点は、①別件犯則調査に際して本件口座情報が取得された手続が、証拠能力を否定すべき重大な違法を帯びるか(訴訟手続の法令違反)、②競馬の払戻金に対する所得税課税・本件ほ脱事案の処罰が可罰的違法性を欠くか、公営ギャンブル所得を偶然捕捉された者のみを処罰することが憲法14条(法の下の平等)に違反するか(法令適用の誤り)、③実名報道・懲戒免職等の社会的制裁や納税完了等を踏まえ、原判決の量刑が重すぎないか、の3点である。 【判旨(量刑)】 大阪高等裁判所は、いずれの論旨も理由がないとして本件控訴を棄却した。 証拠能力の点については、別件犯則調査は銀行の同意を得た任意調査であり、査察官が本件口座情報を持ち帰った点には、被告人の所得税法違反の調査を主眼としていた疑いが残り、当初の対象口座の絞り込みが不十分であった可能性もあるとしつつ、銀行が特段の瑕疵なく同意していたこと、本件口座の入出金情報を覚知した段階で被告人に対する犯則調査として任意で対処することが十分可能であったことから、選択すべき手続の誤りにとどまり、令状主義の精神を没却するほどの重大な違法には至らないと判断した。銀行口座情報は住居に対する承諾捜索と同様に高度な保護を要するとの主張や、違法な別件捜索に当たるとの主張も退けた。 可罰性については、ほ脱税額が約6200万円と多額でほ脱率も約97.8%と高く、被告人は実際の所得に基づく税額を計算して納税義務を確定的に認識しながら2年分にわたり虚偽過少申告に及んだもので、構成要件上処罰を予定しないといえるほど可罰的違法性が低いとはいえず、責任非難の低い事案でもないとした。公営ギャンブル所得の納税意識が低いことや実際上多くの馬券購入者が課税を免れていることを捉えて憲法14条違反をいう主張については、税務当局の調査の実情を反映した事実上の差異にすぎず不合理な差別ではないと判示し、売上の10%が国庫に納付されていることから二重課税に当たるとの主張も立法政策の問題にとどまるとして退けた。 量刑については、被告人が市役所の課税担当部門に所属していたことから厳しい非難を免れない一方、特段の所得秘匿工作をしていなかったこと、本税及び加算税を納付済みであること、懲役刑の選択により地方公務員の身分を失うことも原審が考慮していることを踏まえ、実名報道や控訴審係属中の懲戒免職処分といった社会的制裁を考慮しても、原判決を破棄しなければ正義に反するとはいえないとした。公営ギャンブルの払戻金課税をめぐる違法収集証拠と課税の公平性が正面から争われた事例として実務上参考となる判断である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。