不動産取得税賦課決定処分取消請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30行コ24
- 事件名
- 不動産取得税賦課決定処分取消請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2018年11月15日
- 裁判官
- 佐村浩之、大野正男、佐村浩之
AI概要
【事案の概要】 本件は、大阪府泉北府税事務所長がされた不動産取得税賦課決定処分の取消しを求めた事案である。亡Cと弟D(原審途中で控訴人が亡Cを相続)は、遺贈により駐車場として利用されていた一筆の土地(分筆前土地)の共有持分各2分の1を取得した。その後、両名は財産評価通達を参考にして、本件土地1と本件土地2の価格が同一となるように分筆線を定めて当該土地を二筆に分筆し、共有物分割により本件土地1を亡Cが、本件土地2をDが単独取得した。 これに対し、大阪府泉北府税事務所長は、亡Cに対し、本件土地1の取得につき不動産取得税を賦課決定した。地方税法には、共有物の分割により取得した不動産のうち、当該共有者の持分に応ずる部分については不動産取得税を課さないとする非課税規定が置かれているが、持分を超える部分(持分超過部分)があればその部分には課税されることになる。処分行政庁は、本件各土地が一体的に駐車場として利用されていることから、両土地を合わせて一画地と認定して総額を評価した上、これを面積比率で案分して本件土地1の価格を算出し、その結果、亡Cの持分超過部分が生じたとして課税した。原審大阪地裁は亡Cの請求を棄却し、亡Cが控訴したが、その後死亡したため弟である控訴人が訴訟を承継した。 【争点】 争点は、(1)持分超過部分の有無の判断基準を法73条の21により決定される価格(評価基準による価格)とすることの適否、(2)本件各土地を一画地と認定することの適否、(3)一画地と認定した場合に面積比率で案分して各筆の価格を算出することの適否である。 【判旨】 原判決を取り消し、本件処分を取り消した。 争点(1)については、評価基準の定める評価方法が適正な時価を算定する方法として一般的合理性を有する場合、特別の事情のない限り、評価基準により決定された価格は適正な時価を上回らないと推認されるところ(平成25年最判参照)、本件土地1に適用される評価基準は一画地に関する評価基準も含め一般的合理性を有するといえるから、控訴人の主張は前提を欠く。 争点(2)については、本件各土地は物理的区分がなく駐車場として一体的に舗装利用され、駐車区画が分筆線にまたがり照明設備や外周フェンスも一体的に設置されていること、分筆線が現実の利用状況ではなく価格を同一にする目的で引かれたことなどに照らせば、両土地を別個に画地認定しては客観的交換価値を合理的に算定できず大きな不均衡が生じるから、一画地と認定することは評価基準に適合し適法である。 争点(3)については、通常は面積比率案分で足りるが、本件のように持分超過部分の存否を判定する場面ではわずかの評価差異で結論が分かれるため、より慎重な算定方法が必要である。一画地を構成する各筆の所有者が異なる場合、それぞれの土地の価格割合に従って案分する方が公平にかなう。本件では価格が等しくなるよう面積を調整して分筆されており、面積比率で案分すれば面積の大きい本件土地1に必然的に持分超過部分が生じることは明らかであったのに、他の合理的計算方法を試みることなく漫然と面積比率で案分して本件土地1の価格を算出したことには違法がある。よって本件処分は取り消されるべきである。 本判決は、共有物分割を経て所有者が異なることとなった隣接地について、一画地認定の可否と、認定後の各筆への価格配分の在り方を区別して論じ、後者につき面積比率案分の限界を示した点に実務上の意義がある。