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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成29行ケ10122
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2018年11月22日
裁判官
鶴岡稔彦高橋彩間明宏充

AI概要

【事案の概要】 本件は、ネマチック液晶組成物に関する特許(特許第5240487号、発明の名称「ネマチック液晶組成物」)について、原告(JNC株式会社)が特許庁に無効審判を請求したところ、特許庁が訂正を認めた上で無効審判請求は成り立たないとの審決をしたことから、原告がその審決の取消しを求めた事案である。本件特許は、被告(DIC株式会社)が平成17年10月に出願し平成25年4月に設定登録を受けたもので、液晶ディスプレイの応答速度を上げるため、粘性が低く液晶相温度範囲が広い液晶組成物を提供することを目的としていた。具体的には、第一成分としてCC-3-V(末端にアルケニル基を有するビシクロヘキサン化合物)を35~65パーセント含有し、第二成分として特定の四環化合物を3種以上で10~30質量パーセント含有し、150度1時間加熱後の60度での電圧保持率が96パーセント以上となるものを特許請求の範囲としていた。原告は、本件特許は国際公開第2005/017067号(甲1)や欧州特許公開公報(甲8)に記載された発明から容易に想到できるものであり、またサポート要件や実施可能要件も満たさないなどと主張した。液晶ディスプレイの技術分野では、動画の応答速度改善のために低粘度成分の配合が課題となっており、類似の液晶組成物に関する発明間の微細な差異が進歩性の争点となることが少なくない。 【争点】 争点は主に次の4点である。第一に、甲1記載の引用発明の認定の誤り(原告はCC-3-Vを具体的化合物として特定すべきと主張)。第二に、本件発明と甲1記載の発明との相違点、特にCC-3-Vを35~65パーセントという高濃度で配合することの容易想到性。第三に、甲8発明2との同一性判断(特許法29条の2該当性)。第四に、本件特許のサポート要件および実施可能要件への適合性である。 【判旨】 知的財産高等裁判所第3部は、原告の請求を棄却した。まず甲1発明の認定について、甲1で24重量パーセント以上の比率で用いることが明記されているのは上位概念の式Iの化合物であって、下位概念のCC-3-Vを単独で24重量パーセント以上用いた実施例や示唆はないから、審決の認定に誤りはないとした。次に相違点の容易想到性について、技術常識上、モノアルケニルビシクロヘキサン化合物であるCC-3-Vはネマチック相の温度範囲が狭いという欠点があり、当業者はCC-1V-V1などのビスアルケニル化合物やCC-3-V1・CC-5-Vの方を好ましいと認識していたと認められる。甲1の実施例ではCC-3-Vは常に他の化合物と併用され単独使用例もない中で、あえてCC-3-Vのみを35~65パーセントの高濃度で配合することは、当業者が容易に想到できたとはいえないと判断した。さらに本件発明は、低い粘度と広いネマチック相温度範囲という二律背反的な物性を高いレベルで両立させるものであり、その効果は当業者の予測の範囲を超えるものと評価した。甲8発明2との同一性についても、四環化合物の環構造の違い(2,5-テトラヒドロピラニレン基と1,4-シクロヘキシレン基)は本件発明の課題解決手段における微差とはいえず実質的な相違点であるとし、実質的同一性を否定した審決の結論を支持した。サポート要件・実施可能要件についても、不純物除去は周知の技術課題であり当業者は明細書の記載と技術常識から本件発明を実施できるとして、いずれの要件も満たすとした。以上により、審決に取り消すべき違法はないとして、原告の請求を棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。