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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10016
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2018年11月26日
裁判官
森義之森岡礼子古庄研

AI概要

【事案の概要】 本件は、多成分物質の計量及び混合装置に関する特許出願(名称「多成分物質の計量及び混合装置」、平成23年12月21日国際出願、欧州特許庁への優先権主張あり)について、拒絶査定不服審判の請求を不成立とした特許庁の審決の取消しを求めた審決取消訴訟である。原告はシーカ テクノロジー アクチェンゲゼルシャフト(スイスの化学メーカー)であり、被告は特許庁長官である。 本願発明は、接着剤等の多成分物質を異なる量比(特に50以上対1という大きな量比)で計量・混合して吐出する装置に関するもので、少なくとも1つの吐出ピストンにねじを設け、カートリッジ収容装置に対する回転により吐出ピストンを前方に駆動する構造を特徴とする。原告は、少量で計量される材料成分を精密に吐出できることから、事前の計量作業を省略できる効果があると主張した。 特許庁は、本件補正後発明が、主引用例(甲5、特開平8-57384号公報。2液混合注出装置)及び周知技術(甲6、甲7等に示される、材料成分を注出する装置におけるねじ駆動機構)に基づいて当業者が容易に発明できたとして本件補正を却下し、補正前発明についても同様の理由で進歩性を欠くと判断して拒絶査定不服審判請求を不成立とする審決をした。原告は、審決に進歩性判断の誤り、手続違背、理由不備の違法があるとして取消しを求めて提訴した。 【争点】 (1)相違点2(50以上対1という量比、及び少量成分吐出ピストンへのねじ駆動機構採用)の容易想到性判断の誤りの有無、(2)審決が「駆動機構においてねじ機構の方が歯車機構より細かな調整が可能であること」を機械分野の技術常識と認定したことが、拒絶査定の理由と異なる拒絶理由の追加に当たり、意見書提出の機会を与えなかった手続違背に当たるか、(3)当該技術常識の根拠を示さずに認定したことが特許法157条2項4号の理由不備に当たるか、が争われた。 【判旨】 請求棄却。知財高裁は、次のとおり原告の主張する取消事由をいずれも退けた。 まず相違点2について、二液を混合して得られる接着剤等の多成分物質の混合比率を50以上対1とすることは本願優先日前の当業者が想定し得るもので、甲5発明において当該混合比率を採用することは適宜設定し得る設計的事項にすぎないと判示した。また、部材を直線移動させる駆動機構としてラックピニオン機構より送りねじ機構の方が、機構を大型化・複雑化せずに操作量に対する駆動量を小さくでき細かな調整が可能であることは機械分野の技術常識であると認定した。甲5発明には装置を小型化するという課題があったから、当業者は、駆動機構を大型化・複雑化せず装置を小型化するため、技術常識を勘案して甲5発明のピストン杆の駆動手段に周知の送りねじ機構を適用することが容易であったと判断した。事前計量を不要にするという効果も、甲5発明と周知技術の組合せから予期できない顕著な効果とは認められないとした。 手続違背の主張については、審決は主引用発明(甲5)と副引用技術(甲6・7による周知技術)の組合せの動機付けを基礎付ける事情の一つとして新たに技術常識を認定したにすぎず、「査定の理由と異なる拒絶の理由」を追加したとはいえないから、意見書提出の機会を改めて与えなくとも特許法159条2項・50条に反しないとした。 理由不備の主張についても、「審決の理由」(特許法157条2項4号)は結論を導くのに必要な限度で示されれば足り、判断過程で認定した全事実について逐一根拠証拠を挙げる必要はなく、とりわけ技術常識は当業者に一般的に知られている事項であるから、証拠を挙げなくとも理由記載を欠くものとはいえないとして、原告の主張を退けた。 本判決は、機械分野の技術常識に基づく容易想到性判断の枠組みや、審判段階で新たに技術常識を認定する場合の手続違背・理由不備の判断基準を示したもので、特許実務において参考となる事例である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。