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下級裁

傷害致死

判決データ

事件番号
平成28わ793
事件名
傷害致死
裁判所
名古屋地方裁判所
裁判年月日
2018年11月26日

AI概要

【事案の概要】 本件は、名古屋市内のビル4階にあるバー「A」で起きた傷害致死事件である。被害者(当時39歳)は、女性2名を伴って客として来店し飲食していたが、代金支払の際にクレジットカード決済がうまくいかず、一部支払後に残額の決済ができないまま店外に出た。バーに勤務していた被告人両名は、代金トラブルをきっかけに被害者を追いかけ、4階エレベーターホール付近で午前6時50分頃から午前7時10分頃までの約20分間、共謀して激しい暴行(第1暴行)を加えた。その態様は、背部を蹴って階段から転落させ、顔面をエレベーター内の壁に打ち付け、横たわる被害者にかかと落としをし、馬乗りになって頭部をつかみ床に打ち付け、灰皿等で殴打するなど極めて苛烈なものであった。 その後、同店の客として居合わせた分離前の相被告人Bが、被告人両名による暴行中に背部を踏み付ける暴行(中間の暴行)を加えた。被告人両名は一旦被害者を店内に連れ戻し、「示談書」への署名・指印をさせるなどした後、被害者が隙を見て店外へ走って逃げ出したところ、従業員Cが取り押さえた。その現場に現れたBが、午前7時50分頃から54分頃までの間、単独で、階段の手すりを持って自身を持ち上げ被害者の顔面・頭部を踏み付け、両脚を持って階段を引きずり下ろし、頭部を複数回蹴るなどの暴行(第2暴行)を加えた。被害者は急性硬膜下血腫による急性脳腫脹で死亡したが、どの暴行が致命的傷害を生じさせたかは特定できない状況であった。 【争点】 本件の中心的争点は、複数人が関与した暴行により傷害を負わせたが、原因行為を特定できない場合に被告人らの責任を問える「同時傷害の特例」を定める刑法207条が被告人両名に適用され、傷害致死罪が成立するかである。特に、第1暴行と第2暴行との間に約40分の時間的間隔があり、被告人両名と第2暴行の行為者Bとの間に共謀がないことから、「同一の機会」の暴行といえるか、被告人側の反証責任の程度と立証命題をどう捉えるかが激しく争われた。 【判旨(量刑)】 名古屋地裁は、第1暴行と第2暴行はいずれも死因となった急性硬膜下血腫を生じさせ得る危険性を有し、両暴行は飲食代金トラブルに端を発する一連の事象の中で、被害者が物理的・心理的に被告人両名の支配下に置かれた状況が継続する中で行われたものであって、約40分の間隔があっても「同一の機会」に行われたといえると認定した。そのうえで、刑法207条の反証責任について、被告人側の立証程度は「証拠の優越」で足り、合理的疑いを超える証明までは要しないと判示した。また立証命題についても、第1暴行のみで傷害を生じさせた可能性だけでなく、第1暴行と第2暴行が不可分・不特定に相まって生じさせた可能性も否定しなければならないとした。 弁護人が依拠するF医師の意見については、前提事実の把握に誤りがあり、両暴行が相まって傷害を生じさせた可能性の検討が不十分であるとして採用せず、むしろ頭部への強い衝撃を多く含む第1暴行で出血原因の一部又は全部が生じ、第2暴行でさらに悪化したとみるのが最も合理的であるとして、被告人両名の傷害致死罪の成立を認めた。被告人甲の高次脳機能障害を理由とする心神耗弱の主張も、周囲の状況を冷静に認識し臨機応変に行動できていたとして退け、完全責任能力を認めた。 量刑については、二人がかりで抵抗できない被害者に執ようかつ一方的に暴行を繰り返した極めて危険で悪質な態様であり、法外な代金請求に端を発する理不尽で卑劣な犯行であって、傷害致死の中でも非常に重い部類に属すると評価した。若年で前科がないことなど有利事情を最大限考慮しても、検察官の求刑どおり、被告人両名をそれぞれ懲役10年に処した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。