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下級裁

運転免許効力停止処分取消請求事件

判決データ

事件番号
平成29行ウ18
事件名
運転免許効力停止処分取消請求事件
裁判所
神戸地方裁判所
裁判年月日
2018年11月30日
裁判官
山口浩司武村重樹毛受裕介

AI概要

【事案の概要】 タクシー事業を営むA交通株式会社の統括運行管理者であった原告が、同社所属のタクシー乗務員Cが平成27年12月19日に制限速度を時速22km超える時速82kmで走行した事件について、兵庫県警察本部長から「危険性帯有者(下命・容認/速度超過)」に該当するとして運転免許の効力を30日間停止する処分を受けた事案である。 処分の根拠は、道路交通法103条1項8号(免許を受けた者が自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがあるとき)および同法施行令38条5項2号ハである。警察の捜査により、C以外にも本件会社には速度超過を常習的に繰り返す乗務員が存在し、原告は統括運行管理者として各乗務員のタコグラフを検証してその事実を把握していたにもかかわらず、時速80〜100kmを超える場合を目安として口頭指導するにとどまり、譴責等の懲戒処分をしたことは一度もなかったことが判明した。原告は、厳格な指導・懲戒をすると乗務員の反発や大量退職を招くことを懸念していたと述べている。 原告は当初、本件処分の取消しを求めて提訴したが、効力停止期間経過後に、本部長が職務上の注意義務を尽くさずに違法に本件処分をしたとして、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料100万円と弁護士費用10万円の合計110万円の損害賠償を求めるよう訴えを交換的に変更した。 【争点】 本件の中心的争点は、本部長が本件処分をしたことに国家賠償法1条1項にいう違法性があるか否かであり、具体的には、(1)本件処分基準の設定自体の違法性、(2)原告が乗務員の速度超過運転を「容認」していたと評価できるか、(3)原告自身が「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」と評価できるか、(4)弁明手続の手続的適法性、が問題となった。 【判旨】 神戸地裁は、国家賠償を一部認容した。まず処分基準の設定自体は、道交法74条・75条が安全運転管理者等に運転者への指揮監督を通じた法令遵守を求めていることに照らし合理性があり違法ではないとした。また原告が乗務員の速度超過を「容認」していた点については、指定速度を大幅に超える速度超過を目安以下は見過ごし、譴責すら行わなかった事実から、「指導としての実質が空虚」であり明示又は黙示の容認があったと認定した。 しかし裁判所は、容認行為があったことのみをもって直ちに当該運行管理者自身が「自動車等を運転することが著しく道路における交通の危険を生じさせるおそれがある」危険性帯有者に該当するとは評価できないと判示した。道交法103条1項の趣旨は、当該免許を受けた者に運転させることによる道路交通の危険を防止することにあり、他人の違反行為を容認したことは運転に関する心理的適性を欠くことの一考慮要素にとどまる。原告は統括運行管理者として側乗することはあっても自らタクシー乗務員として運転することはなく、交通違反歴も20年以上前の速度超過2件、約10年前の駐車禁止違反2件、本件処分後の携帯電話使用1件のみであり、原告自身に著しい交通危険のおそれがあるとは評価できないとした。 結論として、本部長は原告に危険性帯有の評価を基礎づける事実がないのにこれを誤認し、職務上の注意義務を怠って本件処分をしたとして違法性を認め、慰謝料20万円と弁護士費用2万円の合計22万円の支払を命じた。運行管理者の容認行為を即危険性帯有と評価する行政実務に一石を投じ、容認行為と当該被処分者自身の運転危険性とを区別して判断すべきことを明示した判決である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。