都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3173 件の口コミ
最高裁

不正競争防止法違反被告事件

判決データ

事件番号
平成30あ582
事件名
不正競争防止法違反被告事件
裁判所
最高裁判所第二小法廷
裁判年月日
2018年12月3日
裁判種別・結果
決定・棄却
裁判官
山本庸幸鬼丸かおる菅野博之
原審裁判所
東京高等裁判所

AI概要

【事案の概要】 本件は、自動車メーカーに勤務していた被告人が、同業他社への転職を間近に控えた時期に、勤務先が営業秘密として管理していた自動車の商品企画等に関するデータファイルを、私物のハードディスクに複製して領得したとして、不正競争防止法違反(営業秘密の領得)に問われた事案である。 被告人は、A自動車株式会社で主に商品企画業務に従事していたが、同業のB自動車株式会社への転職が決まり、平成25年7月31日付けでAを退職することとなった。転職先では、海外での車両開発及び企画業務に従事することが予定されていた。被告人は、退職前の同月16日、自宅において、Aから貸与されていた会社パソコンを使用してサーバーコンピュータにアクセスし、商品企画に関するデータファイル8件等を私物のハードディスクに複製した。さらに、最終出社日の翌日である同月27日、「荷物整理等のため」と称して出勤し、Aのテクニカルセンターにおいて、サーバーから合計5074件(約12.8GB)にも及ぶ4フォルダのデータを私物ハードディスクに複製しようとし、結局3253件を複製した。これらのフォルダには、商品企画の初期段階の業務情報、各種調査資料、役員提案資料等、自動車開発に関わる企画業務の全工程が網羅されていた。なお、Aでは私物記録媒体の業務使用や会社情報の私物機器への保存は禁止されていた。 【争点】 不正競争防止法21条1項3号(平成27年法律第54号による改正前)にいう「不正の利益を得る目的」の有無が争われた。弁護人は、第1の複製は業務関係データの整理を目的とし、第2の複製は「宴会写真」フォルダに含まれる記念写真の回収を目的としたもので、転職先で活用する目的はなかったと主張した。また、「不正の利益を得る目的」があるというためには、正当な目的・事情がないことに加え、当罰性の高い目的が認定されなければならず、情報を転職先等で参考にするなどという曖昧な目的はこれに当たらないとも主張した。 【判旨(量刑)】 最高裁は、本件上告を棄却した。職権判断として、以下の事実関係を指摘した。すなわち、被告人が複製したデータファイルを用いて通常業務や残務処理を行った事実はなく、会社パソコンの社外利用も許可されていたのであるから、私物機器に複製する業務上の必要性も合理性も見いだせない。最終出社日の翌日に業務遂行の必要がなかったことも明らかで、4フォルダ中の記念写真となり得る画像データはごく一部にすぎず、被告人は画像データを選別することなく4フォルダ全体の複製にこだわっていたから、記念写真の回収のみを目的としたものとは認められない。 その上で、勤務先を退職し同業他社へ転職する直前に、営業秘密である各データファイルを私物ハードディスクに複製しており、当該複製が勤務先の業務遂行目的によるものではなく、その他の正当な目的の存在をうかがわせる事情もないなどの本件事実関係によれば、当該複製が被告人自身又は転職先その他の第三者のために退職後に利用することを目的としたものであったことは合理的に推認できるから、被告人には法21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があったといえると判示した。本決定は、営業秘密の領得罪における目的要件について、退職直前の同業他社への転職事案における推認のあり方を示した先例として、企業の営業秘密保護実務に重要な意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。