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下級裁

傷害被告事件

判決データ

事件番号
平成30わ198
事件名
傷害被告事件
裁判所
札幌地方裁判所
裁判年月日
2018年12月3日

AI概要

【事案の概要】 本件は、被告人(76歳)が、平成30年3月5日午後5時52分頃、札幌市内の倉庫内において、被害者B(当時47歳)の頭部を手に持ったハンマーで数回殴打し、全治約2週間を要する頭部裂傷等の傷害を負わせたとして、傷害罪で起訴された事案である。 被告人とBとは平成11年頃に知り合い、平成19年12月頃から、Bは被告人に対し複数回にわたって金銭を貸し付けていた。被告人の返済総額は420万円に及んでおり、利息や元本の支払いが滞ったため、被告人は自己の住居地の土地や本件倉庫及びその所在地を担保として差し入れていた。また、被告人はBの依頼に応じて本件倉庫の修理や除雪等の作業を行い、本件当日の頃には週4回はBの依頼で作業を行っていた。しかし、被告人が約束した利息や元本の支払いをせず、担保提供した土地の境界に関し隣地所有者とトラブルが生じ、作業のスピードも遅かったことなどから、BはBに立腹することがあった。平成30年3月頃からは、Bは被告人に対し土地の登記簿謄本・印鑑証明書・委任状を渡すよう要求したが、被告人は応じなかった。本件前日の3月4日にはBは2回にわたり被告人宅を訪れ、胸倉を掴んで正拳突きや膝蹴りをするなどの暴行を加えていた。 本件当日、Bは本件倉庫で被告人と上記登記簿謄本等の件で話をし、その後事件が発生した。被告人がハンマーでBの頭部を殴打して裂傷を負わせたこと自体は争いがないが、被告人は、それに先立ちBから殴る蹴るの激しい暴行を受けたため、自己の生命・身体を守るためにやむを得ず反撃したものであり正当防衛が成立すると主張した。 【争点】 本件の中心的争点は、被告人のハンマーによる殴打行為に正当防衛が成立するか否かである。具体的には、(1)殴打に先立ちBが被告人に対しどの程度の暴行を加えていたか(Bは胸倉を掴んで引き寄せる程度にとどまると供述し、被告人は殴る蹴るの激しい暴行を受けたと供述)、(2)急迫不正の侵害の存在、(3)回避可能性の有無、(4)ハンマーを用いた反撃の相当性が争われた。 【判旨(量刑)】 札幌地裁は、被告人を無罪とした。 裁判所はまずBの供述の信用性を検討し、被告人の前額部の挫裂創は医師の所見上、被告人が自らハンマーで殴打したとするBの供述よりも、馬乗りされた際に地面に打ち付けられたとする被告人供述と整合的であること、捜査段階当初に暴力を振るっていない旨述べた後、襟首を掴んだことは暴力という認識がなかった旨釈明して供述を変遷させていること等から、Bの供述には被告人の供述を排斥し得るほどの信用性はないとした。他方、被告人の供述には合理性を否定し得るほどの客観的証拠との不整合や不合理な変遷は見られないとして、被告人供述に沿う事実経過の合理的可能性を認めた。 その上で、Bが被告人の襟首を掴み肘辺り・脇腹・腹・胸を殴り、両肩を掴んで膝蹴りをして太もも・膝・股間に当てる暴行を加えた後、「今日はもう許さん」「ぼこぼこにする」と言っていた状況下では、Bが背を向けてしゃがみ込んでいたとしてもさらなる攻撃の意思を示していたとみられ、急迫不正の侵害は継続していたと判断した。また、被告人が本件倉庫の出口に近い位置にいたとしてもBが目の前におり、逃走行動に出れば気づかれることは十分考えられることから、回避行動が容易な状況にはなかったとした。 防衛行為の相当性については、Bが身長180cm・体重80kg・47歳であるのに対し、被告人は身長157cm・体重51.2kg・76歳と年齢・体格に大きな差があり、武器を用いずに有効な反撃をすることは困難であったこと、重量1.2kgのハンマーは刃物のように小さな力で致命傷を負わせるものではなく打撃力を量的に増大させるにとどまり、被告人の劣る力を補うものとして相当性を逸脱するとは断じがたいこと、実際の傷害が全治約2週間の頭部裂傷にとどまり骨折に至っていないこと、2回殴打した点も1回目の殴打後にBが起き上がろうとしたため1回のみでは侵害回避に十分でなかったと考えられることを指摘し、反撃行為は相当性を有していたと判断した。 裁判所は、「これを過剰防衛として処罰すると、結局他に有効な反撃方法がなく、被告人にBからの急迫不正の侵害を受忍することを余儀なくさせる結果となり、刑法36条の趣旨に照らし不当な結論を招く」と述べ、正当防衛の成立を認めて被告人に無罪を言い渡した(求刑懲役1年6月)。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。