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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10068
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2018年12月10日
裁判官
森義之佐野信熊谷大輔

AI概要

【事案の概要】 本件は、合わせガラスに関する特許出願をした原告(日本ゼオン株式会社)が、特許庁から拒絶査定を受け、これを不服として拒絶査定不服審判を請求したところ、特許庁が同審判の請求を不成立とする審決をしたため、同審決の取消しを求めた事案である。 原告の本願発明は、「合わせガラス」に関するものであり、第1のガラス板、第1の中間膜、熱線反射膜を積層した透明フィルム、第2の中間膜、第2のガラス板をこの順に積層した構造を有する。特徴は、第1及び第2の中間膜として、可塑剤を含まない変性ブロック共重合体水素化物(ブロック共重合体水素化物にアルコキシシリル基を導入したもの)を用いる点にあり、これにより優れた熱線反射機能と耐湿性・耐久性の両立を図ろうとするものである。自動車の窓ガラス等に用いられる従来の合わせガラスでは、中間膜に吸湿性の高いポリビニルブチラール(PVB)フィルムが用いられていたため、高温高湿環境下で熱線反射膜が白化するなどの耐久性の問題が指摘されていた。 特許庁は、引用文献1(自動車用プラスチック挿入合わせガラスに関する国際公開)と引用文献2(アルコキシシリル基導入ブロック共重合体水素化物を中間膜とする合わせガラスに関する国際公開)を組み合わせれば、本願発明は当業者が容易に想到し得るとして、進歩性を否定する審決をした。 【争点】 争点は、①相違点1(中間膜の材質に関する差異)の判断の当否、すなわち引用文献1のPVBフィルム中間膜を、引用文献2に記載された可塑剤を含まないアルコキシシリル基を有するブロック共重合体水素化物からなる中間膜に置き換えることが当業者にとって容易に想到し得たか、及び②手続違背の有無(拒絶理由通知において引用発明の中間膜の組成(可塑剤の有無)が明示されなかったことが、原告の意見陳述・補正の機会を奪う違法な手続に当たるか)である。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。 まず、進歩性判断について、引用文献2のアルコキシシリル基を有するブロック共重合体水素化物は、柔軟性に優れた重合体ブロックを有するため可塑剤を加える必要がなく、引用文献2に接した当業者は同物質に可塑剤が含まれないと認識する、と認定した。そして、引用発明と引用文献2の発明は、いずれも自動車窓用合わせガラスという同一の技術分野に属し、中間膜の吸湿性に起因する合わせガラスの劣化を防止するという共通課題を有していたことから、当業者は、引用発明で用いられた(可塑剤を含む)PVBフィルム中間膜を、引用文献2の(可塑剤を含まない)中間膜に一体として置き換えることを容易に想到し得たと判断した。原告が主張する「樹脂成分のみの置換え」や「被接着層が異なる」との論点も排斥し、相違点1は容易想到であり、相違点2は実質的相違点ではないとして、本願発明の進歩性を否定した。 次に、手続違背について、拒絶理由通知には「引用発明1の中間膜はPVBである点」との記載があったものの、前提として中間膜を「PVBフィルム」と認定していたのであり、当業者であれば当該「PVBフィルム」に可塑剤が含まれ得ることを認識できた以上、原告は意見書で十分に反論する機会を与えられていたと認定した。実際、原告自身が意見書において引用発明の中間膜が可塑剤を含むPVB組成物であることを前提とした予備的主張を展開していた事実からも、手続保障に欠ける点はないとして、特許法159条2項で準用する同法50条違反の主張も退けた。 本判決は、合わせガラスの中間膜素材という技術分野において、公知の樹脂組成物を一体として置き換える動機付けの判断枠組みを示すとともに、拒絶理由通知の記載が簡略であっても、当業者の技術常識と組み合わせて十分反論機会が確保されていれば手続違背に当たらないとした点で、特許実務上の参考となる。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。