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下級裁

(事件名なし)

判決データ

事件番号
平成28行コ20
事件名
(事件名なし)
裁判所
福岡高等裁判所
裁判年月日
2018年12月10日
裁判官
矢尾渉佐藤康平村上典子
原審裁判所
長崎地方裁判所

AI概要

【事案の概要】 昭和20年8月9日に長崎市に投下された原子爆弾(長崎原爆)の被爆者援護を巡る集団訴訟の控訴審判決である。原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)は、被爆者健康手帳の交付対象となる「被爆者」について、1条1号で爆心地から一定範囲内の被爆地域に在った者、3号で「原子爆弾が投下された際又はその後において、身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」と定めている。長崎原爆については、長崎市の旧行政区画を基礎として被爆地域が指定されたため、爆心地からの距離が比較的遠くても旧長崎市内であれば1号該当者となる一方、爆心地から近くても旧行政区画外の周辺村(伊木力村、大草村、喜々津村、古賀村、戸石村、矢上村、日見村、茂木町、深堀村、香焼村、式見村、三重村、村松村)は指定対象外とされ、これらは「被爆未指定地域」と呼ばれている。 本件一審原告らは、長崎原爆投下時に被爆未指定地域に在ったと主張する申請者本人又はその相続人であり、長崎県知事又は長崎市長に対して被爆者健康手帳の交付申請及び健康管理手当の認定申請をしたが、いずれも被爆者援護法1条3号該当者に当たらないとして却下された。そこで一審原告らは、各却下処分の取消し、被爆者健康手帳交付の義務付け、死亡申請者については生前の被爆者地位の確認、健康管理手当の支払等を求めて本訴を提起した。原審(長崎地裁)は一部(一審勝訴原告9名)について手帳交付申請却下処分等の取消請求を認容し、被爆者健康手帳交付の義務付けをも認めた一方、その他の請求は棄却ないし却下したため、双方が控訴した。 【争点】 被爆未指定地域に在った本件各申請者が、被爆者援護法1条3号にいう「身体に原子爆弾の放射能の影響を受けるような事情の下にあった者」に該当するかが中心的争点である。具体的には、原子雲から地表に降下した放射性降下物による外部被曝・内部被曝、誘導放射化物質による被曝、いわゆる「黒い雨」の降下の有無及びその放射線量の程度が、健康被害を生じさせる蓋然性を認めるに足りる程度に達していたかが問われた。また、100mSv以下の低線量被曝による健康被害の発生可能性に関する科学的知見の評価、被爆者援護法施行令1条1項に基づく旧行政区画を基準とした区域指定が憲法14条に違反しないかも争われた。 【判旨】 福岡高裁は、一審被告(長崎県・長崎市)の控訴を認め、原判決中一審被告敗訴部分を取り消した上で、一審勝訴原告らの請求をいずれも棄却ないし却下し、その余の一審原告らの控訴を全て棄却した。すなわち、本件各申請者は被爆者援護法1条3号に該当するとはいえないと判断し、一審原告全員敗訴の結論を示した。 判旨は、低線量被曝の健康影響に関する現時点の科学的知見では、100mSv以下の被曝で健康被害が生じるか否か、生じるとしてどの程度かは未解明であり、確立した知見は存在しないとして、一審原告側援用の意見を採用しなかった。また、マンハッタン調査団その他の測定結果から推定される被爆未指定地域における年間外部被曝線量、放射性降下物の降下状況、「黒い雨」の降雨範囲に関する証拠を総合しても、本件各申請者が健康被害を受けるおそれが認められる程度の放射線影響下にあったとは認め難いとした。さらに、旧行政区画を基礎とする区域指定が仮に憲法14条違反であるとしても、そのことから直ちに被爆未指定地域在住者を1条3号該当者と認めることにはならないとして、憲法適合性判断の必要性を否定した。加えて、死亡した申請者の生前の被爆者地位の確認請求については、相続人による却下処分取消訴訟の承継が可能であって確認の利益はないとし、健康管理手当支払請求は給付訴訟として適法だが支給要件認定を受けていない以上理由がないとした。本判決は、爆心地から12km圏内に在ったことのみでは被爆者援護法1条3号該当性を基礎づけるに足りないとする高裁の判断を示したものとして、被爆者援護行政における区域指定の意義と残留放射線影響の立証責任配分に関わる実務的意義を持つ。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。