特許権侵害差止等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、工作機械や電子制御機器の製造販売を行う株式会社ジェイテクト(原告)が、プログラマブル・コントローラ(PLC)や表示操作装置に関する4件の特許権を保有していたところ、三菱電機株式会社(被告)が製造販売する「三菱グラフィックオペレーションターミナル GOT1000シリーズ」「GOT2000シリーズ」及びその画面作成ソフトウェア「GT Works3」等の各製品が原告の特許権を直接侵害又は間接侵害するとして、特許法100条1項・2項に基づき、各製品の生産・譲渡等の差止め、コンピュータ・プログラムの使用許諾の差止め、製品の廃棄を求めるとともに、特許権侵害の不法行為に基づき損害賠償金5億5000万円及び遅延損害金の支払を求めた事案である。原告の特許は、異常発生時にラダー回路を表示する装置、PLC用の操作盤、動作制御操作盤、操作盤の画面定義装置の4件であり、いずれも工場設備等の制御・監視に用いられるヒューマンマシンインターフェースに関するものである。 【争点】 主な争点は、(1)被告表示器と画面作成ソフトウェアの組合せが本件各特許の構成要件を充足し直接侵害又は間接侵害が成立するか、(2)本件各特許に進歩性欠如・新規性欠如・明確性要件違反等の無効理由があるか、(3)共有特許権者(トヨタ自動車)の実施との関係で間接侵害が否定されるか、(4)間接侵害が成立する場合の損害額の算定方法、である。特に、ソフトウェアが別売りで、ユーザがプロジェクトデータを作成してはじめて特許発明の実施品が完成する場合のセット販売理論・道具理論の適用の可否、拡張機能を備えた物が特許法101条2号の「課題の解決に不可欠なもの」に該当するかが重要な論点となった。 【判旨】 大阪地方裁判所は、本件第2特許及び本件第3特許については進歩性欠如等の無効理由があり、本件第4特許についてはトヨタ自動車の自己実施と同視すべきとして、これらの侵害を理由とする請求をいずれも棄却した。他方、本件第1特許(ラダー回路表示装置)については進歩性欠如の主張を退け、被告表示器については直接侵害・間接侵害いずれも否定したものの、画面作成ソフトウェアである被告製品3(GT Works3)は本件発明1の特徴的技術手段(出力要素のタッチによる入力要素ラダー回路の検索表示)を直接もたらす「課題の解決に不可欠なもの」に当たるとして、特許法101条2号の間接侵害の成立を認めた。その上で、特許法102条1項に基づき、原告の損害額を4702万8368円(弁護士費用430万円を含む)と認定し、被告に対し、被告製品3の生産・譲渡・使用許諾の差止め、廃棄、及び損害賠償を命じた。本判決は、ハードウェアとソフトウェアが別売りの製品群について間接侵害の成否を判断し、多用途品であっても特許発明の特徴的技術手段を直接もたらすソフトウェアについては全面的な差止め・廃棄命令が相当であると判示した点で、実務上重要な意義を有する。