強盗致傷,建造物侵入,窃盗被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、被告人3名(A・B・C)が共謀の上、深夜の路上で通行人から現金等を強取し、その際に肋骨骨折等の傷害を負わせたとして強盗致傷罪に問われ、併せて被告人Aに窃盗2件、被告人ABに建造物侵入・窃盗1件が起訴された事案である。 中核となる事件は、平成30年1月3日午前1時45分頃、札幌市内路上で起きた。被告人3名は前日夜から被告人A運転の車で札幌市内を徘徊していたところ、コンビニエンスストアから手荷物を持たず酒に酔った様子で出てきた被害者G(当時47歳)に目をつけ、被告人Aはヘッドライトを消して低速で被害者を追尾した。進路右側を歩く被害者に車を横付けして「何道歩いてんだ」と因縁をつけ、3名が降車して被害者を取り囲んだ。被告人Bが胸倉をつかみみぞおちに膝蹴りを加え、さらに道路反対側に引きずった上で再び取り囲み、被告人CとAがそれぞれ被害者の左右の脇腹を蹴るなどした。被害者は右脇腹の激痛で倒れ込み、その隙に現金約1万8400円在中の財布、スマートフォン、腕時計を奪われ、加療約1か月を要する右第6肋骨骨折等の傷害を負った。 そのほか、被告人Aは共犯者Dと共謀して駐車中の自動車から財布等を窃取した2件の車上狙い、被告人ABは新築工事中の住宅に窓から侵入してジェットヒーター等を窃取する建造物侵入・窃盗にも及んでいた。 【争点】 強盗致傷について、被告人Aの弁護人は窃盗の共同正犯が成立するにとどまると主張し、被告人Cの弁護人は無罪を主張した。すなわち、被告人らの間に暴行を手段として金品を奪う旨の強盗の共謀が成立していたか、また各被告人が実際に暴行に関与したかが争われた。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被害者証言を詳細に検討し、被害者が犯人3名を赤色ジャンパーの者(B)、サングラス非着用の運転手(A)といった特徴で区別し、記憶と推測を分けて慎重に証言していること、右脇腹への強い暴行は肋骨骨折という客観的負傷で裏付けられていることなどから、その信用性を肯定した。 その上で、手荷物を持たない相手から身に着けた金品を奪う際に実力行使が必要となることは容易に予測でき、被告人Aは駐車場の段階で被害者に狙いを定めており、被告人BCも行動状況から同様の認識・意思を共有していたと認定し、遅くとも駐車場を出る頃までに強盗の共謀が成立していたと結論付けた。被告人らの「隙を突いて奪うつもりだった」「寝ていた」等の供述はいずれも不合理・不自然で信用できないとし、責任転嫁の姿勢も指摘した。 量刑は、深夜人気のない路上で酒酔いの被害者を取り囲み一方的に暴行した卑劣悪質な犯行態様、肋骨骨折という重大な結果、金銭欲しさという身勝手な動機、3名が連携して役割を果たしており責任は等しく重いことを重視した。他方、被告人Bは5万円の被害弁償を準備し母の監督も見込まれる点を酌量する一方、ACは特に不合理な弁解を続け反省が十分とは言えないと評価した。被告人Cについては刑法66条により酌量減軽を行い、結論として被告人Aを懲役7年、被告人Bを懲役6年4月、被告人Cを懲役5年8月に処した。