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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10057
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2018年12月18日
裁判官
高部眞規子杉浦正樹片瀬亮

AI概要

【事案の概要】 本件は、「二次元コード、ステルスコード、情報コードの読み取り装置及びステルスコードの読み取り装置」との名称の発明に係る特許(特許第3910705号、請求項1)をめぐる審決取消訴訟である。被告及び訴外会社(OneSpan Japan株式会社。当時の商号は株式会社VASCO Data Security Japan)は、共同で本件特許の請求項1に係る発明について特許無効審判を請求した(無効2017-800023号)。特許庁は平成30年3月19日、引用例1(特開平5-233898号公報)記載の発明及び引用例2(特開平5-258095号公報)記載の発明に該当し新規性を欠くとして、特許法29条1項3号により本件特許を無効とする審決をし、その謄本は同月29日に原告ら(特許権者)に送達された。 原告らは、同年4月30日、本件審決を不服として、共同審判請求人のうち被告のみを相手方として本件審決取消訴訟を提起した。ところが、訴外会社に対しては出訴期間(30日)内に訴えを提起せず、同人との関係では出訴期間が経過した。被告は本案前の答弁として、複数の審判請求人がいる場合の無効審決に対する審決取消訴訟は固有必要的共同訴訟であり、請求人全員を相手方として提起する必要があるのに、被告のみを相手方とした本件訴えは不適法であると主張した。これに対し原告らは、固有必要的共同訴訟ではなく、訴訟提起により審決の確定は遮断されるから請求人全員を被告とする必要はないと反論した。 【争点】 共同で特許無効審判を請求され無効審決がされた場合において、特許権者(被請求人)が共同審判請求人の一部のみを被告として審決取消訴訟を提起し、他の共同審判請求人との関係で出訴期間が経過したときに、当該訴えの利益が認められるか(あわせて、当該審決取消訴訟が固有必要的共同訴訟に当たるか)が争点となった。実体的な新規性判断の誤り(引用発明1・2との相違点の看過)の当否は、この訴訟要件判断に付随する論点にとどまった。 【判旨】 知財高裁第1部(高部眞規子裁判長)は、本件訴えを訴えの利益を欠く不適法なものとして却下した。 判決はまず、特許無効審判について、二人以上の者が共同して請求することができる旨を定めた特許法132条1項の趣旨は、本来単独で請求し得る審判を同一目的達成のため共同で請求し得ることとし、審判手続及び判断の統一を図ったものにすぎず、この場合の審決に対する取消訴訟を固有必要的共同訴訟とする規定も、審決の合一的確定を図る規定も存在しないと指摘した。その上で、複数人が同時期に無効審判を請求する場合の態様としては、共同請求のほか、別個独立に請求された審判が併合された場合(特許法154条1項)、併合されずに進行する場合の3通りがあるところ、最後の場合に請求不成立審決と無効審決とが並存して確定する事態は特許法上当然想定されていること、最高裁平成12年1月27日第一小法廷判決・民集54巻1号69頁等が、請求人の一部のみが提起した審決取消訴訟を適法としていることを踏まえ、共同審判請求に対する審決につき合一的確定を図ることは法文上の根拠がなく必然性も認められないとした。 したがって、当該審決取消訴訟は固有必要的共同訴訟ではなく、請求人の一部のみを被告として訴えを提起した場合に、被告とされなかった請求人との関係で審決の確定が妨げられることもない。そうすると、共同審判請求人の一部のみを相手方として審決取消訴訟が提起され、他の請求人との関係で出訴期間が経過したときは、同人との関係で無効審決が確定し、特許権は対世的に遡って無効となる(特許法125条本文)から、当該訴えは訴えの利益を欠き不適法となる。 本件では訴外会社に対する出訴期間が既に経過しており、訴外会社との関係で無効審決が確定した結果、本件特許は初めから存在しなかったものとみなされるから、本件訴えは訴えの利益を欠き却下を免れないとして、原告ら・被告双方の主張をいずれも排斥した。本判決は、共同無効審判に対する取消訴訟の訴訟形態について、固有必要的共同訴訟性を否定する一方で、請求人の一部についての審決確定が特許権の遡及的消滅を招来し、残余の訴訟の訴えの利益を失わせるという実務上重要な規律を明らかにした事例である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。