窃盗,住居侵入,強盗致傷被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、被告人3名が他の共犯者らと共謀の上、民家への侵入強盗を企て、逃走用車両に付け替えるため駐車中の自動車2台からナンバープレート合計2枚を窃取した上、未明に民家に侵入し、家人のうち1名をバールで殴って傷害を負わせたが財物の奪取には至らなかったという事案である。 被告人3名及び共犯者らは、被害者宅に2億円が入った金庫があるなどの情報を得たことから、多額の現金を取得しようとして犯行を決意した。暴力団組長であるFを中心に、事前に暴力団組員以外の3名を実行役にし、実行役に対する指示内容を決める指示役やその指示を実行役に伝える連絡役といった役割分担を決め、犯行に用いるバールや結束バンド等の道具を準備した上で犯行に及んだ。平成29年11月27日午前0時28分頃から同日午前0時38分頃までの間に、北海道内の路上等で駐車中の自動車からナンバープレート2枚を窃取した後、同日午前2時8分頃、被害者(当時74歳)宅玄関ドアから侵入し、バールで被害者の左足等を数回殴るなどの暴行を加えて反抗を抑圧し金品を強奪しようとしたが、被害者の抵抗により目的を遂げず、被害者に加療約2週間を要する左大腿挫創等の傷害を負わせた。 【判旨(量刑)】 札幌地裁は、被告人甲を懲役5年、被告人乙を懲役6年、被告人丙を懲役5年に処した。 本件は暴力団組織を背景とした組織的かつ計画的な犯行であり、実行役は未明に玄関ドアをたたき割って侵入し、バールで就寝中の被害者を殴るなど犯行態様が危険かつ悪質であって、被害者は軽くない傷害を負い強い恐怖感を抱いたとして、結果の重大性を指摘した。 各被告人の役割について、被告人乙は当初の計画段階から関与し、道具準備や実行役手配を指示し、犯行当日は指示役の1人として最終決断を下すなど被告人3名の中で最も重要な役割を果たしたと評価した。被告人丙は計画段階から関与し実行役の手配や道具準備を行い、犯行当日は連絡役を務め、被告人乙に次ぐ重要な役割を担ったと認定した。被告人甲は計画立案には関与せず、犯行前日に実行役として加わり運転手役等を務めたもので、役割は比較的小さいものの、窃盗罪等の前科があり刑務所出所後5年余りで本件犯行に及んだ点を強く非難した。 他方、被告人3名及びFが被害者に合計38万円を支払い宥恕を得たこと、各被告人が事実関係を認め暴力団との絶縁や更生の意思を示していること、被告人乙・丙には前科がないこと、被告人丙が犯行時未成年であったこと、家族の更生支援などの有利な事情を考慮し、被告人甲及び丙については酌量減軽(刑法66条)を適用して、求刑(甲懲役6年、乙懲役7年、丙懲役6年)をやや下回る主文の刑が相当であるとした。