監禁,殺人,監禁致傷被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人は、首謀格のAおよびBと共謀の上、約4年間にわたり被害者Cを大阪府堺市の家屋2階寝室の押入内に閉じ込め、監視カメラで動静を監視するなどして脱出を著しく困難にし、さらに長期臥床により廃用症候群の傷害を負わせた(判示第1、監禁致傷)。並行して、平成28年9月頃から被害者Dに対しても虐待・監禁を加え、食事や水分摂取の制限、排泄制限、暴力などの虐待を繰り返した結果、Dは細菌性肺炎を発症して衰弱し、平成29年8月15日頃、適切な医療を受けなければ死亡する危険が高い状態に陥った。被告人らは、Dが病院に運ばれれば虐待や監禁の事実が発覚することを恐れ、滋賀県内の空き家にDを移動させて監禁し、医療を受けさせずに死亡させる計画を立て、Dをf町家屋に連行・監禁し、同月17日に同家屋で死亡させた(判示第2、監禁および殺人)。 被告人は16歳頃に家出してAと同居を始めた交際相手の位置付けにあり、当初はAから暴力・性的強要を受けていたが、やがて行動の自由を回復して補佐役的立場を得ていた。 【争点】 弁護人は、被告人には見過ごせない知的制約があり、また首謀格Aに支配された関係性の影響が続いていたため、各犯罪の成立要件が欠けると主張した。具体的には、(1)監禁致傷および監禁の各罪について適法行為の期待可能性が欠けていたこと、(2)殺人罪について被告人はDが死亡する危険が高い状態や殺害計画を認識しておらず殺意・共謀がなかったことが争点となった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、被告人はAと同居するうち補佐役的地位に至り、行動の自由と判断力を十分保持していたと認定した。Aに屈服して不本意に追従したのではなく、Aの不在時にも独自にCに暴力を振るい、Dに対する虐待映像にも苦渋の情は見られず、むしろあざ笑い罵り痛めつけるよう周囲にけしかける言動があったほか、D死亡後には「やり過ぎとは思わない」などと自発的に心情を述べていた。知的制約の程度についても、工場やコンビニ等での就労実績、Aに取り入り信頼を得た実績、証拠隠滅の先見性、幼子2名の監護実績等に照らし、鑑定結果が指摘するほど深刻ではなく、適法な振る舞いを妨げる程度ではないと判断した。殺人についても、Eに「Aくんにケツ拭かせる気か」と発言して役割を促した事実、幼子の子守りを引き受けた事実、Skype監視装置の設置への助言、A・Eとの連絡調整、Aに同道してDの死期を確認に出向いた事実などから、被告人はDの連行・監禁・殺害計画を事前に把握し、殺意をもって共犯者と共謀したと認定した。期待可能性欠如の主張もすべて排斥した。 量刑について、殺人は凶器を用いず見殺しにする態様であるが、虐待・監禁が長期間先行し、犯罪発覚防止という身勝手極まりない動機により殺人に至った点が悪質であり、Cへの4年余の監禁は常軌を逸し、Dへの約1年の監禁も奴隷ないし玩具のような扱いで尊厳を著しく踏みにじるものと評価した。被告人は全般に関与し、首謀格に次いで重い刑事責任を負うとして、求刑懲役18年を超える懲役20年に処した。