都道府県を選択して、裁判官を探すことができます

全国 2522 人の裁判官3144 件の口コミ
知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10087
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2018年12月26日
裁判官
森義之森岡礼子古庄研

AI概要

【事案の概要】 本件は、油圧シリンダにおける出力部材(ピストン)の位置検出装置に関する特許権(特許第5337323号、発明の名称「位置検出装置」)について、特許無効審判請求を不成立とした特許庁の審決の取消しを求めた事件である。 本件特許に係る発明は、工作機械等で用いられる油圧シリンダにおいて、ピストンが所定の位置(上昇限界位置や下降限界位置)に達したことを検知するための装置に関するものである。従来のクランプ装置では、位置検出のためのセンサーをシリンダ本体の外部に設ける必要があり装置が大型化する、長期間使用するとエア通路の閉止性能が低下する、切粉や切削液がエア噴出口を塞いでしまうといった問題があった。本件訂正発明は、シリンダ本体内にエア通路と開閉弁機構を組み込み、弁体をシリンダの油室の油圧によって出力部材側に進出させた状態に保持する構造を採用することで、装置の小型化と信頼性・耐久性の向上を図るものである。 原告(株式会社コスメック)は、本件特許の無効審判を請求し、甲3発明(原告自身が公然実施していたリニアシリンダに係る発明)を主引用発明、甲4(英国特許出願公開明細書に記載された往復動ピストンドライブ)を副引用発明として、本件特許発明は容易に想到できたものであり進歩性を欠くと主張した。原告は、甲3発明では弁体(検出ロッド)を「バネ力」で保持しているのに対し、本件訂正発明では「油圧」で保持している点(相違点2)について、甲4に開示された「バネ力を油圧に置き換える」という技術事項(甲4技術事項)を適用することで容易に想到できたと主張したが、特許庁は進歩性を肯定し請求を不成立とした。 【争点】 甲3発明に甲4に記載された事項を適用することにより、相違点2に係る本件訂正発明1の構成を当業者が容易に想到できたか否か(進歩性の有無)。 【判旨】 知財高裁は、原告の請求を棄却した。 動機付けの判断枠組みについて、主引用発明と副引用発明を組み合わせる動機付けがあるか否かは、それぞれの発明や技術的事項の具体的な構成に照らして判断すべきであり、原告が主張するような抽象的なレベルでの技術分野や機能の同一性のみに基づいて動機付けを認めることはできないとした。 相違点2の容易想到性について、甲4の図10・図11に示された構造は、流体の流入口が一箇所であり、作動流体と制御流体に同じ加圧油を共通して用いることを前提としている。他方、甲3発明はエアと油という2種類の流体を用いるものであり、甲3発明の検出ロッドの押圧手段をバネから油圧に置換しようとすると、エア通路とは連通しない油通路を別途設ける必要が生じ、油圧流体とエア圧の経路配置に複雑な変更を加える必要がある上、検出ロッド、キャップ、マニホールドの構造自体にも大きな変更を要する。さらに、甲4においては作動流体と制御流体を共通とすることが目的達成のための必須の構成であるから、これを異なる流体を用いる甲3発明に組み合わせる動機付けはないと判断した。 原告が主張する「本件訂正発明では具体的な経路が特定されていないからサポート要件違反の問題となる」との論理についても、本件訂正発明1の構成要件に含まれるエア通路と油圧導入路の経路構成に関する技術的思想が甲3発明・甲4と異なることは容易想到性の判断において考慮すべき事情であり、サポート要件の問題とは別個の論点であるとして排斥した。 本判決は、進歩性判断における副引用発明の認定・適用の際に、副引用発明の目的達成に必須の構成を捨象して技術事項のみを抽象的に抜き出すことは許されず、具体的構成に即して動機付けの有無を判断すべきであるとした実務上重要な判示である。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。