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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成28ワ3140
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
京都地方裁判所
裁判年月日
2018年12月26日
裁判官
井上一成

AI概要

【事案の概要】 本件は、京都工芸繊維大学を運営する原告(国立大学法人)が、同大学の元教授である被告に対し、被告が実験に使用した水銀を不適切に処理したことにより同大学の実験室や排水設備等が水銀で汚染されたとして、債務不履行または不法行為に基づく損害賠償として約1551万円の支払いを求めた事案である。 被告は、平成3年から平成26年まで約23年間にわたり、同大学において水銀を使用した実験を継続して行っていた。被告は上智大学や産業技術総合研究所から譲り受けた水銀、市販品として購入した水銀など多量の金属水銀を保管していたが、毒物及び劇物取締法上の毒物である水銀について、大学の化学物質管理システムへの登録や受払簿への記録を一切行わず、大学が実施する毒物保有調査にも届出をしていなかった。 平成26年9月、学生からの内部告発を契機として大学の調査が開始され、被告の実験室の実験台や床、流し台のドラムトラップ、屋内外の排水経路、さらには最終貯留槽に至るまで、規制値(排水基準5ppb)を大幅に超える水銀が検出された。とりわけ実験室流し台のドラムトラップ内からは2400ppb、屋外排水経路の桝からも90ppbもの水銀が検出された。被告は水銀が沈殿した恒温槽の上水を流し台に廃棄し、水銀が付着した器具を流し台で洗浄するなどの処理を常態的に行い、学生にも同様の指示をしていた。流出した水銀は少なくとも約4キログラム、推計では約40キログラムに及ぶ可能性があった。 【争点】 主な争点は、被告による水銀汚染の有無、原告が支出した除染費用等の損害の範囲、および原告側の管理懈怠を理由とする過失相殺の成否である。被告は、水銀は実験で費消されるものではなく、譲り受けた水銀は使用していない、ドラムトラップの構造上大量の水銀流出はあり得ない、原告も長年にわたり管理を怠っていたなどと反論した。 【判旨】 裁判所は、被告が必要な管理手続を一切履行せず、水銀がこぼれても拡散防止措置をとらず、水銀を含む水を流し台に排出し続けた事実を認定し、被告の不適切な使用により実験室から最終貯留槽まで広範に水銀汚染を生じさせたと認めた。被告の反論については、自らも4キログラムの水銀流出を認めていること、実験室が被告の専属管理下にあり具体的流出態様の立証困難は被告側の事情に起因することなどを指摘して排斥した。 損害については、実験室の撤去・取替費用、屋内外排水経路の改修費用、最終貯留槽の汚泥処理費用等について、経過年数や既存施設の耐用年数を考慮して一部を5割負担とし、合計1410万余円の実損害と、これと相当因果関係のある弁護士費用141万円を加えた1551万1905円を損害と認めた。 過失相殺については、原告は従前から教職員に対し毒物の適正取扱いについて周知・指導を行ってきたこと、被告の水銀汚染は故意行為と認められることから、原告に一定の管理上の問題があったとしても過失相殺は認められないとして、被告の主張を全面的に排斥し、原告の請求を全部認容した。本判決は、大学の研究者が負う毒物管理上の職務義務の重さと、違反者の全額賠償責任を明確にした事例として実務的意義を有する。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。