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下級裁

傷害

判決データ

事件番号
平成30わ353
事件名
傷害
裁判所
名古屋地方裁判所
裁判年月日
2018年12月26日

AI概要

【事案の概要】 被告人は、平成29年12月4日、愛知県大府市内の自宅において、長男である当時2歳の被害者に対し、呼吸抑制作用を有するエチゾラム錠、脈拍抑制作用を有するプロプラノロール塩酸塩錠、血圧低下作用を有するアセトアミノフェン坐剤を服用・挿肛させ、入院加療約3日間を要する急性薬物中毒の傷害を負わせたという事案である。 被告人は看護師資格を有し、これら薬剤の効能を正しく認識していたが、服用・挿肛させた薬物の量は客観的には致死量に遠く及ばないものであった。 犯行に至る経緯として、被告人は平成29年8月下旬頃から、夫の適応障害による休職で経済的不安を感じるようになり、さらに長男が幼児教室で指示の入りにくさを指摘されたことから発達障害等を思い込み、その将来を悲観するようになった。実父の透析治療開始など家族介護の差し迫った状況もあって、日常生活で多くのストレスを抱え、そのはけ口として被害者に暴力を振るうようになっていた。同年11月には衝動的に被害者の首を絞めたことから自ら子どもステーションに通報し、児童相談センターの訪問も受けていたが、被害者が施設に保護されることへの悲観も相俟って、「被害者を死なせた方が楽になる」との思考に至り、犯行当日、手元にあった薬剤を全て被害者に服用・挿肛させたものである。 【争点】 弁護人は、被告人が犯行当時、愛着障害及びその二次的症状である大うつ病性の状態により思考停止に陥り、行動制御能力を欠いていた又は著しく障害されていたとして、心神喪失又は心神耗弱の状態にあった旨主張し、被告人の責任能力の有無・程度が争点となった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、精神鑑定を行ったD医師の鑑定を基本的に尊重し、被告人が犯行当時「愛着障害」及び「ストレス反応としての二次的なうつ状態」にあったと認定した。その上で、被告人の不安が愛着障害者特有の育児困難やストレス耐性の低さに起因し、精神的視野狭窄や抑うつ状態に至って犯行に及んだ面があり、本件犯行の動機・経緯には愛着障害等に影響された面があると評価した。 もっとも、犯行動機は成育歴等の環境要因に負うところの多い愛着障害と実在するストレス原因により説明可能であり、本件犯行には被告人本来の人格に根差した面があること、首を絞めたが被害者が泣き出したため断念して薬物使用に切り替えるなど状況に応じた選択を行っていること、犯行後に「児相が来て被害者は保護される」「警察が来たら逮捕される」「看護師資格もはく奪される」などと語り、行為の違法性のみならず社会的意味合いをも正しく理解していたと認められることから、犯行時、正常心理に基づく判断を行っていた部分が相当程度残されていたとして、完全責任能力を有していたと判断した。 量刑については、被害者を死亡させる危険性まではなく、実際の傷害結果も入院加療約3日間の急性薬物中毒にとどまり法益侵害の度合いは大きくないこと、愛着障害の影響を受けての犯行であり責任非難の程度も限定的であることから、実刑には処さないとした。被告人が後悔の念を示し、父親が監督・サポートを誓約していることなどの事情も考慮し、懲役1年6月、3年間の執行猶予とした上、現在も不安定な精神状態にあり治療支援が必要であることから保護観察に付した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。